豆をまいて福を招き、鬼を退治する「節分」。
豆をまく意味や正式なやり方を皆さんはご存知でしょうか?
どのように節分を迎えて、どう過ごせばいいのかを知り、今年の節分を有意義なものにしましょう。
節分って、何?
節分とは雑節の一つで、各季節の始まりの日(立春•立夏•立秋•立冬)の前日のことです。これは「季節を分ける」ことを意味しています。
太陽暦では立春に最も近い新月を元日とし、新年の始まりであることから、一般的に立春に節分が行われるようになりました。
節分とは具体的に何をする日なの?
一般的に『邪気を払い、無病息災を願う行事』といわれています。
昔から、季節の変わり目は邪気が入りやすいと信じられていました。また、この時期はまだ寒く体調を崩しやすいため、新年を迎えるにあたって、邪気を祓い清めて一年間の無病息災を願う行事として、追儺(ついな)という行事が行われてきました。
大陸文化が広く取り入れられた平安時代に、大晦日に宮中行事として中国発祥の追儺が行われるようになりました。これは疫鬼などを追い払うもので、大晦日に陰陽師が厄や災難を祓い清める儀式でした。
しかし、いつの頃からか、追儺は豆をまいて鬼を払い無病息災を願う行事として庶民の間に広まり、定着しました。
この節分、2月3日と思いがちですが、日にちは固定ではありません。去年は2月2日が節分で、37年ぶりに2月3日以外が節分でした。
これは4年に一度のうるう年と関係があります。今後しばらくは、節分はうるう年の翌年は2月2日、となるようです。次のうるう年は2024年なので、2025年の節分も2月2日になります。
2022年の今年の節分は、2月3日(木)です。
なぜ豆をまく?
邪気を払い、無病息災を願う「節分」ですが、なぜ豆をまくのでしょう?
昔から日本人は、言霊の存在を信じ、言葉に意味を与え、生活のなかに取り入れてきました。豆をまくようになったのは、室町時代からのようですが、豆=魔目(鬼の目)を滅する(魔滅)という意味からという説があります。
また、豆は五穀(米、麦、ヒエ、アワ、豆)のひとつであり、日本人はこれらに神が宿ると信じてきました。
節分に使う豆は、前の日に炒って枡に入れ神棚にあげておきますが、お祓いを行うと、なおよいとされています。
また、基本的には大豆を使用しますが、後から芽が出てこないようにするためと、(鬼の目を)射る=炒るという語呂合わせからきているという説もあるようです。
正しい豆のまき方
では、節分の時どうやって豆をまけばいいのでしょうか?実は、きちんとしたルールがあります。
本来、豆まきは家長の役目なのですが、最近では年男、年女や、厄年の人が行う場合が多いようです。
では、正しい豆まきのやり方について、順番に手順をおってみます。
1️⃣ 前日までに、炒った豆を枡に入れ神棚に供えておきます。神棚がない場合は、白い紙の上に豆をのせ、目線の高いところに供えておけば問題ありません。
2️⃣ 節分当日、鬼は深夜(丑寅の刻)にやってくるので、豆まきは夜(午後8時~10時くらいの間)が適しています。豆を入れた枡は左手で胸のあたりに持ち、下手投げのように右手でまくのが正式だとか。
玄関•窓•戸口などを開けて、奥の部屋から順番に鬼を追い出すように「鬼は外!」と、声をかけながら豆をまいていき、まき終わったら、福を逃さないように、また、鬼を締め出すために、すぐに戸締りすること。
3️⃣ 今度は「福は内!」と部屋の中に向かって、豆をまきます。玄関は最後に。
口上、順番、方角などは地方によって異なるようなので、各地域の節分の方法を調べてみてください。
4️⃣ 豆まきが終わったら、1年の厄除けを願いながら、自分の年齢よりも1個多く豆を食べる。この豆は「年取り豆」といい、家族全員で食べたいものです。
豆が苦手な人や数が多くなってしまう人は、代わりに「福茶」を飲むだけでも大丈夫です。これは福豆を吉数の3粒入れ、さらに縁起を担ぎの昆布や塩昆布、梅干しなどを入れたお茶のこと。ポットの熱湯を注ぐだけで、簡単に作れるのでオススメです。
これで豆まきは終了です。新しい1年がよい年になることに違いないでしょう。
節分に食べるもの(行事食)とは?
「節分には豆を食べる」のが一般的ですが、地域によって違いがあるようです。
*恵方巻き
今や節分の定番、恵方巻きは大阪が発祥。節分に恵方を向いて願い事をしながら、黙々と太巻きを食べきる。太巻きの具は、七福神にあやかるとともに福を巻き込むという意味も込め、具を7つ入れています。 太巻きは、鬼が忘れていった金棒に見立てて、金棒を食べる=鬼退治という意味があるのだとか。ちなみに2022年の恵方は「北北西」です。
*こんにゃく
食物繊維豊富で体内を綺麗にする食べ物として、昔から大晦日や節分などの節目の日に食べられてきました。
四国では節分に食べるこんにゃくを「砂下ろし」といって、体内の毒素を排出するという意味なのです。
*けんちん汁
ダイコンやニンジン、ゴボウなどたくさんの具が入ったけんちん汁は、もともと精進料理で、邪気を払う節分行事には相性がよかったことから、食べられるようになりました。
*節分そば
馴染みはないですが、江戸時代には「年越しそば」と呼ばれ、節分に食べるものとして普及していました。諸説あるようですが、麺が切れやすくて厄落としができるという縁起担ぎで食べられるようです。名産地である島根県出雲地方や長野県では、現在も節分にそばを食べるようです。
*麦飯
麦の耕作地では、収穫の感謝の意を込めて、正月や節分に麦飯を神仏にお供えする習慣がありました。特に節分には鰯と一緒に麦飯を食べました。その名残で、今も麦飯を食べる風習があるようです。
いかがでしょうか?たかが節分、されど節分。地域や家庭ごとにいろんな特色がありますね。
形式にとらわれず楽しんで行う「節分」が今どきなのでしょう。おうち時間が当たり前な今だからこそ、家族そろって豆まきをして、厄祓いするといいのではないでしょうか。