「成人の日」と「成人式」について
お正月休み明けで、9・10・11日の三連休を心待ちにしている方も大勢いるのではないでしょうか。
ところで11日はなぜ休日かといえば「成人の日」だからです。40〜50代位から上の方々には成人の日は「1月15日」と連想する方が少なくないかと思います。実際に私もその内の一人です。
成人の日の変遷
成人の日は1月15日から「1月の第2月曜日」へ変更されたのは次のような経緯でした。
最初は1月15日
国民の祝日は、「国民の祝日に関する法律」(祝日法)で定められています。この法律は、1948年(昭和23年)7月20日に公布、施行されされました。
このときには、小正月であり、元服の儀が行われていた「1月15日」と定められました。
「1月の第2月曜日」へ
現在では以下の法改正によって平成12年(2000年)から「1月の第2月曜日」に変更されました。
【国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(法律第141号・平成10年10月21日)
国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)の一部を次のように改正する。
第2条
成人の日の項中「1月15日」を「1月の第2月曜日」に改め、同条体育の日の項中「10月10日」を「10月の第2月曜日」に改める。
附 則 この法律は、平成12年1月1日から施行する。】
ハッピーマンデー制度
成人の日を1月15日から、1月の第2曜日に変更した背景には、ハッピーマンデー制度というものがあります。
この制度の目的は、観光業などを活性化することです。
そのために、週休2日制と祝日をつなげ、3連休以上の休みを増やして、旅行や遊びに出かけやすくしたのです。
このハッピーマンデー制度によって、成人の日の他にも変更した祝日がありますが、また別の機会に紹介できればと思います。
成人の日とは
そもそも「成人の日」とはどのような日なのでしょうか。
祝日法は、成人の日を次のように定義しています。
【2条(内容)
成人の日 1月の第2月曜日
おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。】
なお、祝日法は、「国民の祝日」を次のように規定し、休日とするとしています(同法3条1項)。
【第1条
自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。】
以上から、「おとなになったことを自覚して、みずから生き抜こうとしていく青年を、国民こぞって祝いはげます日」ということになります。
対象年齢は法律で決められていない
祝日法では、成人の日の対象者を【おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年】としています。
青年とは、「人を年齢によって分けた区分の一つ。普通、20歳ごろから30歳代前半までの人を指す」(引用「新明解国語辞典」)と定義されています。
このように、法律では成人の日の対象者の年齢をはっきりと定めていません。
成人の日の対象者が20歳と考えられているのは、民法で【年齢20歳をもって、成年とする。(4条)】と規定しているのと、全国の自治体が開催する成人式が「20歳」を対象にしているからだと思われます。
成人式がガラッと変わる!?~「18歳成人」が成人式に与える影響
民法改正により、成人式の形が大きく変わるかもしれません。
実は、成人の日の対象者同様、成人式の実施時期も法律で定められていません。
成人式の日程は、各市町村ごとに地域の実情に基づいて決められています。
成人年齢が18歳に引下げられる
成人年齢を18歳とする民法改正案が参院本会議で成立しました。このことにより民法の定める「成年」は次のように変わります。
【現行
第4条 年齢20歳をもって、成年とする。
↓
改正後(2022年4月1日以降)
第4条 年齢18歳をもって、成年とする。】
1月開催は困難になる
改正民法の施行後は、1月に成人式を開催すると、大学受験を控えた18歳の高校生や浪人中の19歳は、参加を控えたり、出来ないということも考えられます。
当事者の大多数が不参加となると、開催月の変更を検討しなければならないかもしれません。
「真夏の成人式」もありえる
では、成人式を夏休みの8月に行うのはどうでしょう。受験生でも1日(半日)位ならと参加できる人は増えそうです。
ですが、成人式といえば振袖の晴れ着。真夏に着るものでは・・・。
真夏の成人式だと着物業界にとっては大きなダメージが予想されます。
ひょっとしたら、数年後には「成人の日」と「成人式」はガラッと姿を変えているかもしれません。
私的な意見ですが、成人式は同窓会的な感じがあるので、学校で毎日会っているなら、わざわざ成人式に行かなくても?、何て考えしまいます。
※一部法律や辞典から引用しています。