おせち料理の分類は全部で5種類
おせち料理は懐石料理と同じでコース料理のようになっており、「祝い肴」「口取り」「焼き物」「酢の物」「煮物」の5種類に分かれており、それぞれの料理に意味やいわれがあります。
また、おせち料理は一般的に重箱に詰められていますが、これには幸せを重ねるという思いが込められています。デパートなどで売られているものは主に二段や三段ですし、五段の場合もあります。正式な段数は四段となり、これは完全な数を表す「三」の上にもう一段重ねた数です。上から「一の重」「二の重」「三の重」「与の重(四は死を連想させて縁起が良くないとされるため)」と呼び、何番目のお重に何を詰めるかが決まっています。
おせち料理の構成
一の重
- 口取り
- 祝肴
二の重
- 焼き物
三の重
- 煮物(煮しめ)
与(四)の重
- 酢の物・和物 *四は忌み数字で使用しない
五の重
- 空 <控えのお重、現在の状態が最高ではなく、まだまだ富が増える余白が有ることを願ってわざと空にしています>
現在は手軽に一段のお重箱で済ますことが多いし、高くても三段重がほとんどだと思います。
ですが、本来は五段重が基本構成です。
三段重の場合は、一の重に祝い肴と口取り、二の重に焼き物と酢の物、三の重に煮物を詰めます。二段にまとめる場合は、一の重に祝い肴と口取り、二の重に煮物を詰め、残りは好みで振り分ければOKです。食べ進めて隙間ができた際、コンパクトに詰めなおすときにも知っていると便利ですね。
おせち料理の食材に当てた意味
口取り
一の重(1番上の段)に入る食材。
主に酒の肴になるきんとんやかまぼこなど、甘めの食材を指します。
◎紅白かまぼこ
日の出に見立てた半月の形や、結びで飾られたかまぼこ。
・紅白かまぼこをおせち料理に入れる意味
かまぼこは日の出を象徴していて、紅はめでたさ、白は清浄を意味しています。
◎伊達巻
卵に魚のすり身を混ぜ、味付けを甘くして、焼き上がりにまきすで丸めたもの。
・伊達巻をおせち料理に入れる意味
巻物の形から書物を連想しており、学業や文化の発展の願いが込められています。
また”伊達”とはオシャレさんや華やかさを指す言葉です。
◎栗きんとん
甘くした飴と栗を煮込んだ餡を、栗の甘露煮にからめた和菓子みたいな料理。
・栗きんとんをおせち料理に入れる意味
きんとんは漢字すると「金団」。字の通りに金の団子(金色に輝く財宝)のイメージで「豊かな1年」を願うものです。
また、栗も「勝ち栗」と呼ばれていて、山の幸の縁起物とされています。
◎昆布巻き
昆布で魚肉(一般的には戻した身欠きニシン)を巻いて、かんぴょうで縛って、醤油と味醂で煮込んだ料理。
・昆布巻きをおせち料理に入れる意味
こぶは言葉遊びで「子生(こぶ)」=子孫繁栄、「よろこぶ(養老昆布)」=不老長寿などといわれる縁起物とされています。
昆布巻きは三の重の“煮しめ”とみなされることも。
◎錦玉子
ゆで卵の黄身と白身を分け、それぞれ味をつけて裏ごしして、上を黄色、下を白にして型にはめ蒸したもの。
・錦玉子をおせち料理に入れる意味
黄身と白身の二色が金と銀に例えられ、正月のめでたさを表しています。
祝い肴(さかな)
口取りと同様、一の重に入れられる料理。名前の通りの意味を込めた料理です。
「三つ肴」、「祝い肴三種」と呼ばれる正月の祝い肴(数の子、黒豆、田作り)が主体となっています。
◎数の子
きれいな黄色の数の子は鰊(にしん)の魚卵です。
味噌や醤油に漬けて味付けされたものが一般的。
・数の子をおせち料理に入れる意味
数の子はたまごの数の多さから”子孫繁栄”を願って入れる料理です。
たらこやいくらではなく、にしんのたまごが選ばれるのは”にしん=二親”という字を当てて”夫婦仲円満”の願いも込められている為。
◎田作り
片口いわしの稚魚を素干しにして、乾燥させたものを炒ってから甘辛く炊いた料理。
・田作りをおせち料理に入れる意味
小魚を畑の肥料に使っていた時代も有ることから「五穀豊穣」を祈願。
また、片口いわしの稚魚はごまめ(五万米)とも呼ばれます。
◎黒豆
黒大豆(ぶどう豆)を砂糖と醤油で甘く炊いたもの。
・黒豆をおせち料理に入れる意味
まめに働く、まめに暮らすなど、豆には「まじめ」の意味が込められています。
◎たたきごぼう(関西)
ゆでたごぼうを軽く叩き、繊維を砕いて柔らかくし、同時に味を染み込みやすくさせたもの。
きんぴらごぼうみたいな煮物です。
・たたきごぼうをおせち料理に入れる意味
地中深くにまっすぐに根を伸ばすことから、「まっすぐ根を張る」という意味で験担ぎ的な食材。
焼き物
◎鰤(ぶり)
・鰤をおせち料理に入れる意味
出世魚であることから出世を祈願。
◎鯛(たい)
・鯛をおせち料理に入れる意味
日本の祝い事には欠かせない鯛。七福神の恵比寿様が持っているからと、代表的な、めで「たい」祝い魚としてお祝い事には欠かせない魚です。
酢の物
◎なまこの酢漬け
薄くスライスしたなまこをさっと茹でて漬け込んだ酢の物。
・なまこの酢漬けをおせち料理に入れる意味
俵の形に似ているところから豊作を祈願しています。
◎紅白なます
短冊切りにした人参と大根を漬け込んだ酢の物。
・紅白なますをおせち料理に入れる意味
根菜のように根をはるように。またのし紙の水引を連想しており、平和祈願の意味が込められています。
◎酢蓮根
ちょうどいい食感にボイルした蓮根を甘酢につけたもの。
・酢蓮根をおせち料理に入れる意味
蓮根の穴を覗くと向こう側が見えることから、「先の見通しが明るくなるように」という意味が込められています。
◎菊花蕪
かぶに細かい切れ目を入れた上で酢の物に漬ける。
・菊花蕪をおせち料理に入れる意味
冬が旬のかぶを菊の形に飾り切りしたもの。菊は不老長寿と邪気払いを願う縁起物。
煮物(煮しめ)
煮しめは、根菜中心の食材を一緒に煮込むことで、仲良し家族的な意味が込められています。もちろん、煮しめに使われる各食材にもきちんと意味があります。
◎蓮根
酢蓮根同様、穴が空いていることから、将来の見通しが良くなることを祈願。
◎里芋
掘り起こした里芋は、親芋から子芋が、子芋から孫芋と繋がっています。
その様子から、子孫繁栄を祈願。
◎くわい
最初に大きな芽が出ることから、出世(芽が出る)を願って。
◎ごぼう
たたきごぼうと同じで、地にまっすぐ根を伸ばすことから。
◎海老のつや煮
海老を頭からしっぽまで全てを使った華やかな料理。
鍋で煮立てた汁に新鮮な海老を入れ、サッと煮立てます。
焼きものとして入る場合も。
・海老をおせち料理に入れる意味
海老は、長いヒゲと加熱すると腰が曲がるこから、海の老人=「海老」と名付けられています。
その名前の由来から「腰が曲がるまで丈夫に長生きするように」という長寿祈願。
おせち料理の意味と食材に込められた意味
いかがでしたか?
代表的なものを上げてみましたが、おせち料理に入る食材や重箱には、新年がより一層良いものになるようにおめでたい願いが込められています。
おせち料理を食べる時には、各食材に込められた意味を楽しみながら、味わってみてください。